CA6第1期生へのインタビューⅠ

CA6第1期生:曾根杏樹さん
派遣先大学:韓国教員大学校(韓国)、コンケン大学(タイ)

1. 第1期生として2022年にプログラムに参加されたあと2024年春に博士後期課程へ進学されました。
進学を決めたきっかけを教えてください。
 進学自体はもともと考えて博士前期課程を過ごしていました。しかし、前期課程にいる間に3か月もの留学をするとは自分自身全く考えていませんでした。プログラムに参加するに至った理由として、もちろん、金銭面のサポートが手厚いことや、身近にとても前向きに参加を考えていた友人がいたことはありますが、これまで自分自身が経験したことがないことを経験してみたい、と思ったことが一番大きな理由です。特に私の場合は学類時代から筑波大学にいて、大学院進学も博士後期課程まで筑波でストレートを予定したため、常にどこかで「外の世界を知らなすぎる」、「自分はいろいろな点で経験不足だがこのまま進学してよいのか…」という不安と隣り合わせでした。そうした不安を払拭し、自分にとってかけがえのない経験が得られるのではないかと考えプログラム参加を決めました。
そしてこの考えは間違えではなかったことが、留学中はもちろん、帰国後も度々感じられました。帰国後の授業や自身の研究に際して、現地で見てきた教育の実態や学んだ知識が生かされていましたし、慣れない海外で英語で三ヶ月生活してこれたのだという、生活自体の経験も自身の糧となりました。博士後期課程進学という選択はかなり不安定なもので、ある程度自分で何かを成し遂げたいとか、成し遂げることができるというビジョンがないと精神的に苦しい世界だと私は考えています。私自身明確なビジョンが持てているわけではありません。ですが、研究で苦しくなった時や、新たな環境に足を踏み入れるときに、CA6で色々な経験をしたから大丈夫、できるはずだ、と思えることが私自身とても大きな力となって進学を決めましたし、かつ進学後も何度もこの経験に助けられています。

2. 後期課程で取り組んでいる研究内容を教えてください。研究内容は前期課程の内容と変わりましたか?
 後期課程では、「教師の主体的な職能発達」を大きなテーマとしながら、理論検討と事例研究を通してその実態と支援方策を明らかにすることを目的とし研究しています。この大きなテーマ自体は博士前期課程から継続しているものですが、後期課程で新たに加わった視点としてTeacher Agencyという概念があります。これは、私が前期課程の研究において、教師の「主体性」が結局どういうものなのかを明確に論じられなかったという課題から、その点を追求するために注目している概念です。
概念自体はCA6のプログラムとは直接関係はないのですが、英語文献に立ち向かうようになったという点で経験が生きています。この概念は日本にも近年広がりつつありますが、その理論についての書籍などは翻訳もされておらず、ひたすらに英語文献を読む必要があります。私はもともと英語への苦手意識が強いのですが、CA6に参加している間は、毎日英語で会話し、英語文献を読んで、発表するということを繰り返してきていたので、前向きに英語文献の検討を進めることができました。

3. 今後やりたい事は何ですか?
 CA6で留学していた韓国とタイには少なくとももう一度行きたいなと思っています。また、当時行ける予定がコロナで行けなくなってしまった中国にもぜひ行ってみたいと考えています。CA6に参加したおかげで私の中で海外に行くということ自体のハードルがかなり下がっているので、いろいろな国に、研究でも旅行でも行きたいなと夢見ています。
研究に関しては、私の研究テーマは大きく見たら「教師の学び」で、韓国やタイにいる間も、現地の先生方の日本との共通点と相違点が大変興味深かったです。そのため、国ごとの教師や学校比較のようなものを、もし可能であればCA6に参加したメンバーと協力してできたらいいなと考えています。

4. 今後プログラムに参加する後輩たちにメッセージをお願いします。
 もともと留学に興味がある方はもちろん、ちょっと海外怖いな、英語苦手だなと思っている方もぜひ積極的に参加してみてください。現地の先生方やサポートに入ってくれる学生さんはとても親身になってくれますし、日本では得られない経験を必ず得られると思います。
そして、現地では研究・観光ともに積極的に色々なところに赴き、色々な人と会話することがおすすめです。私はもともと引きこもりタイプなので、今思い返してみると、普段の院生生活の倍は活動していたように思います。これには、一緒に現地に行ったメンバーが積極的に活動できる子達だったことも大きな要因で、一緒にいてくれたことが本当にありがたかったです。また、現地の先生や学生の皆さんも色々なイベントに誘ってくれました。複数人で派遣となった場合はみんなで協力して全力で楽しみながらたくさん学んでください。
また、反対に一人で派遣になったり、そうでなくとも困ることもあるかもしれません。ですが、心配しすぎなくて大丈夫です。現地の先生方やスタッフの皆さんに相談することはもちろん、それでもうまくいかなかったとしても、日本のCA6事務局の皆さんはとても親身になって相談に乗ってくれて、色々な提案をしてくださると思います。実際に私が留学している間にも多々トラブルはありましたが(一期生なのもあって色々手探りでした笑)、いつも事務局の皆さんがやさしく、あたたかく対応してくださいました。
何よりも大事なのは現地の生活を楽しむことだと思います。人それぞれの楽しみ方があると思うので、ぜひ自分なりに楽しんでください!

KNUEでの授業風景

タイ現地のクレープ屋さんにて一期生同士の交流

 今年度の研究成果発表

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